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「台風 一人暮らし やること」で検索すると、窓に養生テープを貼る、ベランダの排水溝を掃除する、浴槽に水をためるといった項目が、ほぼ同じ並びで紹介されています。ただ、この並びを消防庁・内閣府・政府広報オンライン・首相官邸の資料と照らし合わせてみると、どの省庁がどの項目の根拠になっているかが、はっきり分かれることがわかりました。
この記事では、台風が近づいてから停電が起きるまでの流れを4つの段階に分け、気象庁・消防庁・内閣府・経済産業省・政府広報オンライン・首相官邸の一次資料をもとに、それぞれの段階でやるべきことを整理しました。結論から言うと、消防庁が「事前の備え」として家庭の物理的な準備に挙げている項目は3つで、ネットでよく見る「窓に養生テープ」はそこに含まれていません。一方、同じくよく見る「ベランダの排水溝掃除」や「浴槽に水をためる」は、消防庁ではなく政府広報オンラインや首相官邸の資料に明記されています。
一人暮らし女性の防災グッズの全体像については、別記事「防災グッズ、一人暮らし女性の最低限は?」で整理しています。今回は台風という災害に絞り、時系列でやることを確認します。
本記事は体験レビューではありません。編集部が実際に台風の中で行動を検証した記事ではなく、気象庁・消防庁・内閣府・経済産業省・政府広報オンライン・首相官邸が公表している資料を直接確認し、その内容にもとづいて構成しています。作成方法は末尾の「この記事の作り方」で説明します。
1. 台風対策は「4つの段階」で考えると整理できる
いきなり台風対策のチェックリストを作ろうとすると、「窓」「持ち出し袋」「食料」といった項目がバラバラに並んでしまいがちです。
内閣府の「避難情報に関するガイドライン」では、災害への警戒度を5段階の「警戒レベル」で示しています。台風の場合もこの警戒レベルに沿って状況が進むため、レベルの進み方をそのまま時系列の目安として使うことができます。
- 警戒レベル1(早期注意情報・気象庁)は、「今後気象状況悪化のおそれ」を示す段階です。数日〜5日先までの予想を対象にしており、災害への心構えを高める時期にあたります。
- 警戒レベル2(レベル2注意報・気象庁)は、「気象状況悪化」を示す段階です。大雨注意報・高潮注意報・氾濫注意報など現象ごとに名称は変わりますが、自分の避難行動を確認しておく時期です。
- 警戒レベル3(高齢者等避難・市町村長発令/レベル3警報・気象庁)では、危険な場所にいる高齢者等が避難を始めます。
- 警戒レベル4(避難指示・市町村長発令/レベル4危険警報・気象庁)では、危険な場所から全員が避難します。ガイドラインは「レベル4までに必ず避難」としています。
- 警戒レベル5(緊急安全確保・市町村長発令)は、命の危険が迫った状態です。直ちに安全確保が必要になりますが、必ず発令されるとは限りません。
気象庁は2026年5月29日から、警報・注意報の名称に警戒レベルの数字を入れる新しい運用を始めました。このとき、警戒レベル4には新たに「危険警報」という区分が設けられています。
この記事では、レベル1〜2を「数日前」、レベル2〜3を「前日まで」、レベル3〜5を「接近中・当日」、そして停電が起きた後を「停電したら」の4段階に分けて説明します。
一人暮らしの場合、家族と役割を分担できない分、この4段階のどこにいるかを自分ひとりで把握しておく必要があります。今どの段階かがわかれば、やることリストを全部一度に消化しようとせずに済みます。

▶ 内閣府「避難情報に関するガイドライン」(令和8年3月改定版)
2. ネットでよく見る「台風対策リスト」、公的資料での確認結果
台風対策の記事を集めてみると、項目自体はどのサイトもほとんど同じです。ただ、その項目を消防庁・内閣府の資料と照らし合わせると、明記されているものと、そうでないものに分かれます。
| よく見る項目 | よく言われる理由 | 公的資料での確認結果 |
|---|---|---|
| 窓の施錠・補強 | 強風でガラスが割れるのを防ぐ | 消防庁「事前の備え」に明記 |
| 窓に養生テープを貼る | 割れた際の被害を減らせると言われている | 消防庁・内閣府とも記載なし(推奨も否定もなし) |
| 飛散物の固定・屋内格納 | 物干し竿や鉢植えが凶器になる | 消防庁「事前の備え」に明記 |
| 非常用持ち出し袋の準備 | 避難時・停電時に兼用できる | 消防庁「事前の備え」に明記 |
| ベランダの排水溝を掃除する | 水があふれるのを防ぐ | 政府広報オンラインに明記 |
| 浴槽に水をためる | 断水時の生活用水にする | 首相官邸に明記 |

ここから、それぞれの項目を時系列に沿って詳しく見ていきます。
3. 台風発生から数日、まずは進路予報の確認から
台風が発生してから上陸まで数日ある場合、この段階でやることは主に情報収集です。
気象庁の警戒レベル1(早期注意情報)は、数日〜5日先までの予想を対象にしています。台風の進路予報を確認し、自分の住んでいる地域に近づく可能性があるかどうかを把握する段階です。
この段階では、SNSで見かけた個人の予想や体感的な情報より、気象庁の公式サイトや報道機関が発表する進路予報を基準にしたほうが安全です。数日先の進路予報は変わることもあるため、1回見て終わりにせず、日をまたいで何度か確認しておくと、直前になって慌てずに済みます。
この段階でやることは、大きく2つです。
- 台風の進路予報をこまめに確認する
- 非常用持ち出し袋の中身が揃っているか、消費期限切れの食品がないかを確認する
持ち出し袋の具体的な中身については、柱記事の早見表を参考にしてください。
4. 前日までにやること、窓とベランダを整え、持ち出し袋を最終確認する
警戒レベルが2から3に進む頃には、実際に手を動かす段階に入ります。消防庁の広報誌「消防の動き」2022年7月号は、「事前の備え」として家庭の物理的な準備を次の3つに箇条書きしています。
- 窓はしっかり鍵をかけ、必要に応じて補強する
- 飛ばされそうな物は固定するか、屋内へ格納する
- 非常用持ち出し袋を用意する
同じ「事前の備え」には、これに続けて情報面の備えも挙げられています。ハザードマップを日頃から確認しておくこと、テレビ・メールなどどの手段で情報を入手するかを決めておくこと、指定緊急避難場所の位置と避難経路を調べておくこと、そして安全な親戚・知人宅やホテル・旅館も選択肢に入れて避難先をあらかじめ決めておくことの4つです。一人暮らしの場合、これらを相談できる相手が身近にいないぶん、先に決めておく価値があります。
ネット上の台風対策リストには、この3つ以外にもさまざまな項目が並んでいます。消防庁の資料の中で家庭の物理的な準備として明記されているのはこの3つですが、情報面の備えを含めれば消防庁自身がさらに項目を挙げていることになります。ここから、代表的な項目を1つずつ見ていきます。
窓の対策、養生テープの記載はないが「飛散防止フィルム」は明記されている
消防庁が明記しているのは、「窓はしっかり鍵をかけ、必要に応じて補強する」という一文です。「養生テープ」という言葉そのものは出てきません。内閣府の「避難情報に関するガイドライン」にも、住宅の窓の養生方法についての具体的な記載は見当たりませんでした。養生テープに限れば、推奨も否定もしておらず、単に言及がありません。
一方、「補強」の具体的な方法そのものが公的資料にまったくないわけではありません。政府広報オンライン(内閣府政府広報室)は、台風が近づく前の「家の外の備え」として「窓や雨戸はしっかりと閉めて必要に応じて補強する」ことに加え、室内の備えとして「飛散防止フィルムを窓ガラスに貼る」ことを明記しています。窓ガラスの補強方法として公的資料に名前が挙がっているのは、養生テープではなく飛散防止フィルムです。
ネット上の台風対策記事の多くは、窓ガラスに米印状にテープを貼ることを定番の対策として紹介しています。この方法について、ガラスメーカーや情報サイトが独自に行った実験では、「テープを貼ると割れたガラスの破片が大きい塊のまま飛散し、かえって危険になる場合がある」という結果が報告されています。ただし、これは民間企業や媒体による検証であり、消防庁や内閣府が公式に発表した実験結果ではありません。
現時点で正確に言えるのは、次の2点です。
- 窓ガラスの補強方法として政府広報オンラインが明示しているのは「飛散防止フィルムを貼る」ことで、養生テープではない
- 養生テープそのものについて、公的機関が推奨・否定した記述は見つからなかった
養生テープを「意味がない」と決めつけるだけの公的な根拠はありませんが、窓ガラスの備えとして公的に名前が挙がっているのは飛散防止フィルムだという点は覚えておく価値があります。消防庁が明確に求めているのは、養生テープの有無にかかわらず「窓の鍵をかけること」と「必要に応じて補強すること」の2点です。
ベランダの排水溝と浴槽の水、政府広報オンライン・首相官邸が明記している
消防庁が2つ目に挙げているのは、「飛ばされそうな物を固定するか、屋内に格納すること」です。ベランダに置いている物干し竿、鉢植え、ピンチハンガーなどが対象になります。強風で飛ばされた物が自室や隣の部屋の窓を割る事故につながることもあり、台風のたびに繰り返し呼びかけられている項目です。
ネット上の台風対策リストでよく見る「ベランダの排水溝を掃除しておく」という項目は、消防庁・内閣府の資料には出てきませんが、政府広報オンライン(内閣府政府広報室)の台風特集記事に明記されています。「側溝や排水溝は掃除して水はけをよくしておく」という一文が、窓や雨戸の補強、飛散物の固定などと並ぶ「家の外の備え」として挙げられており、公的な根拠のある項目です。
同じく「断水に備えて浴槽に水をためる」という項目も、消防庁・内閣府の資料には出てきませんが、首相官邸「災害の“備え”チェックリスト」が明記しています。「飲料水とは別に、トイレを流したりするための生活用水も必要です。日頃から、水道水を入れたポリタンクを用意する、お風呂の水をいつも張っておく、などの備えをしておきましょう」という項目で、生活用水の確保策として紹介されています。柱記事「防災グッズ、一人暮らし女性の最低限は?」の早見表にも、この首相官邸の記載を出典として同じ項目が載っています。
持ち出し袋の最終確認
3つ目は、非常用持ち出し袋です。消防庁が例示している中身は、食料、簡易トイレ、マスク、ハンディライト、ラジオです。一人暮らしの場合、持ち出し袋を1つ用意しておけば、避難のときにも自宅で停電したときにも兼用できます。
一つずつ買い足すのが大変な場合は、防災士監修のセット品を土台にして、足りないものだけ単品で足していく方法もあります。
中身の具体的な最低限リストは、柱記事の早見表にまとめています。
5. 接近中・当日は無理に動かないことが最優先
台風が接近すると、大雨によって「線状降水帯」が発生することもあります。気象庁は、線状降水帯が発生しそうな場合に半日程度前から「線状降水帯半日前予測」を発表しています。また気象庁の報道発表によると、2026年5月29日からは発生の2〜3時間前を目標にした「気象防災速報(線状降水帯直前予測)」の運用も始まりました。ただし、直前予測の平均リードタイムは約60分とされており、予測が出てから避難などの行動に移せる時間は限られています。
この段階では、警戒レベルも一気に進みます。
- 警戒レベル3(高齢者等避難/レベル3警報)では、危険な場所にいる高齢者、障害のある人などが避難を始めます。
- 警戒レベル4(避難指示/レベル4危険警報)では、危険な場所にいる人は全員避難します。内閣府のガイドラインは「警戒レベル4までに必ず避難」としています。
- 警戒レベル5(緊急安全確保)は、命の危険が迫った状態で、直ちに安全な場所を確保する必要がある段階です。ただし、必ず発令されるとは限りません。
一人暮らしの場合、「様子を見に外へ出る」という行動が一番のリスクです。強風で物が飛んでくる、増水した用水路に近づいてしまうといった事故は、台風が最接近する時間帯に起きやすいと繰り返し注意喚起されています。この段階でやることは、外出を控え、スマートフォンやテレビで自治体からの避難情報を確認し続けることに尽きます。
避難の判断は、レベル4が出た時点で「まだ大丈夫」と思わず、早めに動くことが基本です。レベル5は必ず発令されるとは限らないため、レベル5が出るのを待ってから動こうとすると手遅れになる可能性があります。
6. 停電したらやること、長期化を前提に動く
台風による停電は、数時間で復旧することもあれば、想像以上に長引くこともあります。
2019年の台風15号(房総半島台風)では、関東広域で最大約93万戸が停電し、このうち千葉県だけで約637,100戸にのぼりました(経済産業省の検証資料による、9月9日7時50分時点の数値)。東京・神奈川・埼玉・茨城・静岡は9月11日までに概ね復旧しましたが、千葉県は9月21日に停電が1万戸以下となり(ピーク時と比較して99%の停電が復旧)、この水準に達するまで発生から12日かかっています。大規模な倒木など復旧が難しい箇所を除いてほぼ完全に復旧したのは9月24日、発生から15日後でした。
同じ台風では、消防庁の資料によれば住宅の損壊も約74,000戸にのぼり、千葉市では最大瞬間風速57.5m/sを記録しています。強い風による建物被害と、長期化する停電が同時に起きた事例です。

▶ 経済産業省「台風15号に伴う停電復旧プロセス等に係る検証」
停電が半日程度で終わるという前提で備えていると、こうした長期化には対応できません。消防庁が持ち出し袋の中身として挙げているハンディライトやラジオは、停電の初期には役立ちますが、電池切れを考えると長くても数日程度が現実的な限界です。スマートフォンの充電を含めて数日以上をしのぐには、モバイルバッテリーやポータブル電源をあらかじめ充電しておくことが選択肢になります。
一人暮らしの場合、停電中に家事や連絡を分担できる相手が家にいません。スマートフォンが唯一の情報収集手段になりやすいことを考えると、充電手段を1つだけに絞らず、モバイルバッテリーとポータブル電源のように容量の違うものを組み合わせておくと安心です。
一人暮らしの部屋に置く容量の目安や、実際に比較した機種については、別記事にまとめています。
▶ 一人暮らしのポータブル電源は容量で選ぶと失敗する? 小型5機種を比較
比較記事で扱った機種のうち、Jackery・BLUETTIは公式のアフィリエイトプログラムで購入経路を確認できています。
▶ Jackeryの公式ストアを見る
▶ BLUETTI公式ストアを見る(クーポン内容は時期により変動するため、ストア上の表示でご確認ください)
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7. 台風対策の早見表で時系列を振り返る
ここまでの内容を、段階ごとの早見表にまとめました。スクリーンショットを撮っておくと、実際に台風が近づいたときに見返せます。
| 段階 | 警戒レベルの目安 | やること |
|---|---|---|
| 数日前 | レベル1〜2 | 進路予報の確認、非常用持ち出し袋の中身チェック |
| 前日まで | レベル2〜3 | 窓の施錠・補強、飛散物の固定・屋内格納、持ち出し袋の最終確認 |
| 接近中・当日 | レベル3〜5 | 不要な外出を控える、避難情報の確認、レベル4までに避難 |
| 停電したら | – | ハンディライト・ラジオで初期をしのぎ、モバイルバッテリー・ポータブル電源で数日以上に備える |
まとめ
台風対策としてネットでよく見る項目を一次資料と照らし合わせると、消防庁が家庭の物理的な準備として挙げているのは「窓の施錠・補強」「飛散物の固定・格納」「非常用持ち出し袋」の3つで、これにハザードマップの確認や避難先の決定といった情報面の備えが続きます。窓に養生テープを貼るという項目だけは、消防庁・内閣府・政府広報オンラインのいずれにも記載が見当たりませんでした。一方、ベランダの排水溝を掃除する、浴槽に水をためるという項目は、政府広報オンラインや首相官邸の資料にそれぞれ明記されています。
やることの数が多いように見えても、警戒レベルに沿って数日前・前日まで・接近中当日・停電したらの4段階に分けると、今どの段階で何をすべきかが整理できます。特に停電は、台風15号のように発生から12日以上続いた実例があるため、半日程度で終わる前提の備えでは足りない場合があることは覚えておく必要があります。
この記事の作り方
この記事は、編集部が実際に台風の中で行動を検証した実体験レビューではありません。気象庁・消防庁・内閣府・経済産業省・政府広報オンライン・首相官邸が公表している資料を直接確認し、そこに書かれている内容にもとづいて構成しています。
警戒レベル1〜5の定義は、内閣府「避難情報に関するガイドライン」令和8年3月改定版のPDFに記載された文言を基にしています(旧版は令和3年5月、令和4年9月更新)。あわせて、2026年5月29日から気象庁の防災気象情報の名称が変わり、警戒レベル4に「危険警報」が新設された点も反映しています。消防庁が挙げる「事前の備え」のうち、家庭の物理的な準備として箇条書きされている3項目は、消防庁の広報誌「消防の動き」2022年7月号に掲載された内容によるものです。同じ節にある情報面の備え(ハザードマップの確認・避難先の決定など)も本文で紹介しています。台風15号の停電戸数と復旧までの日数は、経済産業省が令和元年10月3日に公表した検証資料の数値をそのまま使用しており、複数のWeb記事で見られる別の数値とは一致しなかったため、経済産業省の原資料の数値を採用しています。
「窓に養生テープ」については、消防庁・内閣府の資料に記載がないことを確認した一方、養生テープに具体的な効果がない、あるいは危険であると断定した公的な実験結果も見つかりませんでした。窓ガラスの補強方法としては、政府広報オンラインが「飛散防止フィルムを窓ガラスに貼る」ことを明示しています。本文中でもお伝えしたとおり、「養生テープに公的機関が触れていない」という事実と「窓の補強方法そのものに公的な言及がない」という主張は、分けて扱っています。
ベランダの排水溝清掃、浴槽の水の確保といった、一人暮らしや賃貸向けの対策としてネット上でよく紹介される項目については、消防庁・内閣府の資料には記載がありませんが、政府広報オンラインと首相官邸の資料にそれぞれ記載があることを確認しています。本文中ではその出典を明記したうえで紹介しています。


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