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モバイルバッテリーは防災用に何mAh?停電12日の実例から必要な容量を出した

一人暮らしの備え
本記事はプロモーションを含みます

停電が起きたとき、一人暮らしの部屋で最初に困るのはスマホの電池です。情報も連絡も地図も、全部その1台に入っています。

では、モバイルバッテリーは何mAhのものを買えばいいのか。10,000mAhで足りるのか、20,000mAhが要るのか。ここを数字で決めるために、過去の停電が実際に何日続いたのかを経済産業省と内閣府の資料で確認し、そこからスマホ何回分が必要かを逆算しました。

先に結論だけ書きます。一人暮らしなら、持ち歩き用の10,000mAhと、家に置いておく20,000mAhの2台に分けるのがいちばん無駄がありません。1台にまとめるなら20,000mAh、ただし330〜400gを毎日持ち歩くことになります。

この記事は実機レビューではありません。手元の製品を分解して測ったわけではなく、容量・出力・重量はすべてメーカーの公表値です。停電日数と備蓄の考え方は官公庁の資料を確認しています。防災士の資格は持っていません。

この記事でわかること

疑問 答え
停電は何日続くのか 2019年の台風15号では、ピークの約93万戸が1万戸以下になるまで12日かかった(経産省資料)
何mAh必要か 表示容量の6〜7割が実際に使える分。20,000mAhでスマホ約3回が目安
容量以外の落とし穴 電池が満タンでも圏外にはなる。満充電には数時間かかり、アダプタも要る
選ぶときに見る場所 容量・出力(W)・ポート数・ライトの有無・PSEマークの5つ
具体的にどれか 持ち歩き用と据え置き用で分ける。比較表にまとめた
保管の注意 リチウムイオン電池の事故は5年で1,860件、うち85%が火災(NITE)
持ち出すときのルール 2026年4月24日から、飛行機の機内持ち込みは2個まで

停電は実際どれくらい続いたのか

「3日分の備え」とよく言われますが、電気に関してはもっと長い例があります。

経済産業省が2019年10月3日の審議会に出した検証資料によると、令和元年台風第15号では9月9日7時50分に関東で最大約93万戸が停電しました。東京・神奈川・埼玉・茨城・静岡はおおむね9月11日までに復旧しましたが、千葉県内は送配電設備の被害が大きく、停電件数が1万戸以下になったのは9月21日です。発生から12日後でした。大規模な倒木や土砂崩れで復旧が難しかった場所を除いて復旧が完了したのは9月24日と記載されています。

いっぽう、2018年の北海道胆振東部地震では、国内で初めて全域停電(ブラックアウト)が起きて最大約295万戸が停電しましたが、内閣府の防災白書には概ね全域に供給できるまで45時間程度と書かれています。

同じ「停電」でも、送電網が止まったケースは2日弱、電柱や電線そのものが壊れたケースは2週間近く。つまり停電の長さは原因で決まり、住んでいる場所の被害の出方しだいで大きく変わります。

内閣府の広報誌「広報ぼうさい」は食料の備蓄について、これまで3日分あれば十分と言われてきたが、南海トラフ巨大地震のように広い地域に甚大な被害が及ぶ場合は1週間以上の備蓄が望ましいとの指摘もある、と書いています。電源も同じで、3日を最低ライン、1週間を目標に置くのが現実的です。

停電はどれくらい続いたのか。2019年台風15号は1万戸以下になるまで12日、2018年北海道胆振東部地震は概ね全域に供給できるまで45時間程度
出典: 経済産業省 電力レジリエンスWG資料(2019年10月3日) / 内閣府 令和元年版防災白書

「20,000mAh」でスマホ何回充電できるのか

ここが誤解されやすいところです。20,000mAhのモバイルバッテリーで、4,000mAhのスマホが5回充電できるわけではありません。

モバイルバッテリーの中の電池は3.6〜3.7Vで、USBで出すときは5Vに上げます。このとき電圧を上げる分だけmAhの数字は目減りし、変換のロスも乗ります。

計算式にすると、こうなります。

実際に使える容量 ≒ 表示容量 × (3.7V ÷ 5V) × 変換効率

変換効率を90%とすると、3.7 ÷ 5 × 0.9 = 約0.67。表示の6〜7割が目安です。これはメーカーや販売店の解説で共通して言われている数字で、公的機関が定めた公式な値ではありません。実際の値は製品と使い方で動きます。

この目安で計算すると、こうなります。

表示容量 実際に使える目安 スマホ(4,000mAh)の充電回数 重さの目安
5,000mAh 約3,300mAh 約0.8回 100g前後
10,000mAh 約6,700mAh 約1.6回 200g前後
20,000mAh 約13,400mAh 約3.3回 330〜470g

スマホ側の電池は、Google Pixel 9が4,700mAh、AQUOS sense9が5,000mAh(いずれもメーカー公表値)。iPhoneはAppleがmAhを公表していないため、ここでは4,000mAhを仮の基準にしています。

3日間、1日1回充電すると3回。20,000mAhが1台あれば、3日はしのげる計算です。1週間となると、節電しながら使うか、どこかで継ぎ足す前提になります。

容量をそろえても、当日つまずくところ

2つだけ、先に書いておきます。

ひとつめ。バッテリーが満タンでも、基地局側が止まれば圏外になります。電池と電波は別の話です。停電が長引く地域では、電波の入る場所まで移動する前提も要ります。持ち出す前に、紙の地図や避難先のメモを写真に撮っておくと、圏外でも見られます。

ふたつめ。買ったその日に満タンにはなりません。20,000mAhクラスを空から満充電にするには、対応するUSB-Cのアダプタをつないでも数時間かかります。付属していない製品も多いので、本体と一緒にアダプタとケーブルも用意してください。台風が来ると分かってから充電を始めるのでは、間に合わないことがあります。

防災用に選ぶとき、見る場所は5つだけ

店頭やAmazonの商品ページで比べる場所を、優先度の高い順に並べます。

1. 容量(mAh)

家に置く1台は20,000mAh。毎日カバンに入れる1台は10,000mAh。重さと安心のバランスは、この組み合わせが過不足ありません。

2. 出力(W)

同じ20,000mAhでも、出力が18Wと67Wでは充電の速さが変わります。停電中は「電気が来ている短い時間にどれだけ入れられるか」が効くので、ここは大きいほうが有利です。20W以上あれば、多くのスマホで急速充電に対応できます。

3. ポートの数と種類

スマホとイヤホン、あるいは友人のスマホと2台同時。避難所や友人宅では、2ポート以上あると譲り合いがしやすくなります。USB-Cが1つは欲しいところです。

4. ライトの有無

停電で困るのは電源だけではありません。LEDライト付きなら懐中電灯を別に持たずに済みます。ただし今回、1製品ずつページを開いて確かめたかぎりでは、LED付きの防災向けモデルは販売終了になっているものが目立ちました。無理に探すより、ライトは単体で用意するほうが早く済みます。

5. PSEマーク

モバイルバッテリーは2018年2月1日から電気用品安全法の規制対象で、1年の経過措置を経て2019年2月1日以降、PSEマークのない製品は販売できません。経済産業省のFAQには、流通在庫も含めて売れないと書かれています。フリマアプリや個人輸入で古い在庫を買うときは、本体にPSEマークがあるか確認してください。

ソーラー充電については、あれば心強い一方で、パネルが小さいモデルは満充電まで日なたに何日も置くことになります。主役にはならず、保険として考えるのが現実的です。

一人暮らし向けの比較表

数値はすべてメーカー公式サイトの公表値です(2026年9月20日確認)。価格は変わるので、目安として見てください。

製品 容量 最大出力・ポート 重さ 価格(税込) 向いている使い方
Anker Power Bank (10000mAh, 22.5W) 10,000mAh
(Wh表記は公式になし)
合計22.5W
USB-C×2 + USB-A×1
約200g 3,490円 毎日カバンに入れる1台
CIO SMARTCOBY TRIO 67W 20000mAh 20,000mAh
(77.4Wh)
単ポート最大67W
USB-C×2 + USB-A×1
約333g 8,980円
(希望小売価格)
部屋に置く1台。PCも充電できる
Anker Solix C300(ポータブル電源) 288Wh AC定格300W
AC×3 + USB-C×3 + USB-A×1ほか
約4.1kg 49,990円 家電まで動かしたい人。飛行機には持ち込めない

リンク先はAmazonの検索結果です。同じ名前で容量違い・色違いが並ぶので、上の表の型番と価格を見比べて選んでください。価格はAmazon側で変わります。

▶ AmazonでAnkerの10,000mAhを見る
▶ AmazonでCIO SMARTCOBY TRIO 67Wを見る
▶ AmazonでAnker Solix C300を見る

この3つに絞ったのには理由があります。防災用として名前がよく挙がる製品を公式サイトで1つずつ当たったところ、ソーラーパネル付きのAnker PowerCore Solar 20000は公式ストアで売り切れ、LEDライト付きのエレコム DE-M21L-6700RDは販売終了でした。定番だったAnker PowerCore 10000も販売終了で、こちらにも別の製品回収(2022年12月25日〜2025年10月21日に販売した分)の告知が出ています。

もうひとつ、正直に書いておきます。上の表に入れたAnker Power Bank (10000mAh, 22.5W)も、2025年6月26日までに販売した分のうち、一部のシリアル番号が製品回収の対象だと公式ページに出ています(現在も販売は続いています)。買うときは公式ページの告知を確認して、すでに持っている人はシリアル番号を照合してください。防災用に買った1台が回収対象だった、というのが最悪です。

PSEマークについては、CIOの製品ページには「PSE認証品」と明記がありましたが、Ankerの2製品のページにはPSEや電気用品安全法の記載が見当たりませんでした。国内で売られている以上は規制の対象ですが、ページに書いていないものを「書いてある」とは言えないので、そのまま書いておきます。現物が届いたら本体の刻印を見るのが確実です。

買ったあとのほうが大事。保管と処分

製品評価技術基盤機構(NITE)の2025年6月26日の注意喚起によると、2020年から2024年までの5年間で、リチウムイオン電池を搭載した製品の事故は1,860件。そのうち約85%にあたる1,587件が火災に至っています。事故は6月から8月に集中する傾向があるとされています。

やってはいけないことを、短くまとめます。

  • 夏の車内に置いたままにしない
  • 本体がふくらんだら使わない。充電もしない
  • 強くぶつけた・落としたものは使い続けない
  • 枕元や布団の上で充電しない
  • 捨てるときは自治体の回収か、家電量販店の回収ボックスへ(燃えるゴミに入れない)

防災用として買ったバッテリーこそ、押し入れに入れっぱなしになりがちです。3か月に1回は充電する日を決めておくと、いざというときに空だった、という失敗を防げます。カレンダーに繰り返しの予定として入れてしまうのが確実です。

持ち出すときのルールが2026年4月に変わった

帰省や旅行に持っていく人は、ここも押さえておいてください。国土交通省が2026年4月14日に公表した資料により、2026年4月24日から機内持ち込みのルールが変わりました。

追加されたのは、次の3つです。

  • 機内に持ち込めるモバイルバッテリーは2個まで(160Wh以下に限る)
  • 機内でモバイルバッテリーを充電しない
  • 機内でモバイルバッテリーから他の機器へ充電しない

もともとあるルールも、あわせて確認しておいてください。

  • 預入(受託)手荷物に入れるのは禁止。必ず機内に持ち込む
  • ワット時定格量が160Whを超えるものは持ち込み不可
  • 端子に絶縁テープを貼るなどして、ショートしないように1個ずつ保護する
  • 座席上の収納棚に入れず、座席ポケットなど手元に置く(2025年7月8日から)

なお「2個まで」の対象はモバイルバッテリーです。カメラの予備電池などは別の枠で数えるので、持っていく人は航空会社の案内も見てください。

Whの数字は、mAhから計算できます。ワット時定格量(Wh)= 定格容量(mAh)× 定格電圧(V)÷ 1,000。国土交通省の資料では、27,000mAh・3.7Vの製品を99.9Whとする例が示されています。20,000mAh・3.7Vなら74Whです。定格電圧は製品ごとに違うので、CIOのように77.4Whと表示される製品もあります。どちらにしても、一般的なモバイルバッテリーは160Whを超えません。超えるのはポータブル電源のほうです。ポータブル電源は160Whを超える製品が多く、その場合は飛行機に持ち込めません。

よくある質問

10,000mAhを2つ買うのと、20,000mAhを1つ買うのはどちらがいいですか

分散できる2つ持ちのほうが安心です。1つが壊れても、もう1つが残ります。ただし充電の手間は2倍になります。カバンと部屋で置き場所を分けるなら、10,000mAh+20,000mAhの組み合わせをおすすめします。

ソーラー充電だけで足りますか

足りません。モバイルバッテリーに付いている小さなパネルは、晴れた日に何日も当ててようやく満充電になる程度の出力です。停電が長引いたときの最後の手段として考えてください。

普段使いのバッテリーを防災用と兼ねてもいいですか

兼ねてかまいません。むしろ、使わずにしまい込んだバッテリーは自然放電して、必要なときに空になっています。普段から使って、週末に満タンに戻す運用のほうが確実です。

ポータブル電源は買うべきですか

一人暮らしで最初の1台なら、モバイルバッテリーで十分です。冷蔵庫や電気毛布まで動かしたい、在宅勤務でPCを止めたくない、という条件が出てきてから検討する順番で間に合います。選び方は一人暮らしのポータブル電源は容量で選ぶと失敗する?小型5機を比較にまとめています。

まとめ

  • 停電は原因で長さが変わる。2019年の台風15号では、1万戸以下になるまで12日かかった
  • 表示容量の6〜7割が実際に使える分。20,000mAhでスマホ約3回
  • 持ち歩き10,000mAh+据え置き20,000mAhの2台持ちが、一人暮らしには過不足がない
  • 見るのは容量・出力・ポート・ライト・PSEの5つ
  • 事故の多くは保管が原因。夏の車内とふくらみに注意する
  • 2026年4月24日から、飛行機の機内持ち込みは2個まで

防災グッズ全体の優先順位は防災グッズ、一人暮らし女性の最低限は?「3日分」と「1週間分」を出典付きで解説に、水の量は水の備蓄量は一人暮らしで何リットル?にまとめています。

この記事の出典

  • 経済産業省「台風15号に伴う停電復旧プロセス等に係る検証について」(2019年10月3日・電力レジリエンスWG資料4)
  • 内閣府「令和元年版 防災白書」特集1-4 平成30年北海道胆振東部地震
  • 内閣府防災「できることから始めよう!防災対策」(広報ぼうさい第73号)
  • 経済産業省「電気用品安全法 モバイルバッテリーに関するFAQ」
  • 製品評価技術基盤機構(NITE)注意喚起(2025年6月26日)
  • 国土交通省「モバイルバッテリーの機内持込みの新たなルールについて」(2026年4月14日)
  • 各製品の容量・出力・重量・価格はメーカー公表値(2026年9月20日確認)

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